「なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか」

最近読んだ本の紹介。
「なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか」
ある意味ではとても怖い本です。

・6歳の女の子が描いた奇妙な絵。…腕を描き忘れている…。
・ひとつ、ふたつ、みっつ、… と数えられない。
・三角形が描けない。
・「それ」、「これ」、「あれ」、「はんたい」、「たくさん」、…これらの単語の意味が分からない。
・異常なまでの無気力、面倒くさがり…。

これらの異様な現象が、2002年ごろから全国的に一斉に出始めた。
「なぜ?」
それに筆者が現場の実状と、数々の資料から切り込んでいくノンフィクション。

途中まではそのアプローチと考察に少し短絡的に過ぎやしないか、という印象を受けますが終盤へ向けて読んでいくと、興味深い一考が得られます。
この本を読んで、今の子供を取り巻く、大人の社会のありかたは「ちょっとマズいんじゃないか」と不安を覚えました。

自分ももう子どもがいてもおかしくない年齢だしそういうことも考えないといけないな、とも思った次第です。子どもの教育などに関心のある方はぜひ。
子どものために、と親がやることが実は「知的虐待」にもなりうる。怖い話です。怖いですが、これが現実なんですね。

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藤原智美 「なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか」

  • Posted at 23:36 on Apr 05, 2006
  • | 4 Comments

4 Responses

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  • miki says:

    この本、とても興味深いですね。
    是非読んでみたいと思いました。

     私の仲のいい友達が、小さい頃に描いた、絵(恐らくその人本人か親の絵だと思うのだけれど)にはいつも腕がなかったそうで、その話を思い出しました。聴いてみれば、(父親に)抱きしめてもらったことがないから、とのこと。

     私もそういった、幼い時のイメージを絵にする、ということを今までに何度かしたことがあるのですけど、やはり絵には心理的なものが顕著に現れるそうです。自分でもなかなか気づかなかった自分に出会えたりして、楽しかったですけど。

  • nori says:

    それはとても興味深いね。
    本当に、子どもの作品って“そのまま”が出るんですよね。
    (本人は気がついていないことも)

    児童画を心理学的に分析する分野も確立されていたのかと
    この本で初めて知りました。

    そうか、幼いときのイメージを絵にする、というのもあるのね。
    やってみようかな。

  • miki says:

    >幼いときのイメージを絵にする、
    うん。私はセラピーの1つとして、描いたりしてるんだけど。
    描くものは、人じゃなくても、色だけとか、抽象的なものでもいいみたいです。心に浮かんで沸き上がってくるものを、止めないで描くのがいいらいいですよ(^-^)。

  • nori says:

    なるほど?
    漠然としたものでも自然に出てくるものを
    そのまま出せばいいのね。

    意識してないものが表れてくるって不思議だね。
    心は正直なんだなあ。。。