生協の白石さん

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白石昌則、東京農工大学の学生の皆さん 「生協の白石さん」

当ブログからも以前よりリンクしている、「がんばれ、生協の白石さん!」。そして、それが本になった、「生協の白石さん」。読んで思うのは、いろんな意味で自分はまだまだであるということ、そして感謝の気持ち。

簡単に説明すると、東京農工大学の生協で働いておられる白石さんについての話題です。
大学生協では、「ひとことカード」と呼ばれる、生協に対する意見・要望などを書き送ることのできるシステムがあるそう。本来ならば、店舗の商品の品揃えに対する意見や要望を書くわけですが、中には生協とは関係のない質問なども寄せられます。そのような「ひとことカード」に対し、白石さんは黙殺することなく、ユーモアを交えながら返答してくれる。
その返答ぶりが評判を呼び、上述のブログが広くネットで知られ、本にまでなってしまったというのが大まかな流れです。

具体的にどんな返答なのかは、「がんばれ、生協の白石さん!」の記事をご覧になっていただくとして、本、「生協の白石さん」を読んだ感想をば。

まず一番強く思うのは、自分はまだまだ心が狭いのだという反省の念。
人は疲れたり、気が滅入っていると“とげ”が出てしまうことが多い。本当にこの点についてはただただ反省し、これからも精進するべく真摯に生きる決意をするのみです。
そしてもうひとつは、そのような機微に対する思いに自分を向けてくれたことに対する感謝の気持ち。かさついた心にやさしい水を注いでもらったような、そんなさわやかな心もちになりました。

  • Posted at 21:41 on Dec 26, 2005
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「海辺のカフカ」NYタイムズ今年の10冊に

村上春樹さんの長編小説、「海辺のカフカ」。

今年英訳版が刊行され、素晴らしいことにNYタイムズの今年の10冊に選定されました!NYタイムズの記事

おめでとうございます!!
いやー うれしいっ!! ほんとにうれしい。

思えば春樹さんの作品に出会ったのは、高校生、18歳のとき。5年前。高校の「作品講読」の授業でした。それまで私はまったく本を読まない人間。とくに小説なんてまったく。
ひとつだけ、ヘッセの「車輪の下」を読んだくらいです。(初めて自分で買って読んだ小説です、「車輪の下」。)
友人の誘いで空いてるタイムテーブルに「作品講読」を受講した、という“たまたま感”あふれる出会い。

先生(今思えば恩師ですね。お礼を伝えたいのだけどいまだ再会できず。)が「間違いなく、現代の日本を代表する小説家」という紹介のもと、村上春樹さんの小説、「風の歌を聴け」を読みました。
あの衝撃は忘れられない。
「なんなんだこれは…!!」
主人公と自分の重なりにものすごく感動しました。

それ以来、春樹さんの小説は出版されたものはすべて読みました。作風は時代ごとに変わりますが、魅力は薄れません。また私は詩を中学時代から書いていたんですが、春樹さんの小説との出会いは、「小説(物語)」を本格的に書くようになったきっかけでもあります。

本当におめでとうございます。

  • Posted at 23:29 on Dec 02, 2005
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究極の質問たち… ノーベル賞受賞者からの回答

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「ノーベル賞受賞者にきく 子どものなぜ? なに?」

「ノーベル賞受賞者にきく 子どものなぜ? なに?」を読みました。大人が読んでも十分おもしろいです。まず質問自体がとても興味深い。たとえば、

「どうしてプリンは柔らかいのに石は硬いの?」

「空はどうして青いの?」

「葉っぱはどうして緑色なの?」

「1たす1はどうして2なの?」

などなど…(目次一覧はこちらをどうぞ

これらの質問にその道のプロ、ノーベル賞受賞者たちが答えてくれます。説明の中には、子どもには難しいのでは、と思うものもありましたが、それでも分かりやすく書かれているので楽しみながら読めます。大人でも十分楽しめます。

実際に読んで興味深かったのは、上記のほかに
「どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの?」
「愛情って何?」
「どうしたらノーベル賞をもらえるの?」
「忘れちゃうことと忘れないことがあるのはどうして?」
など。読んで「なるほど」とうなってしまう、おすすめの一冊。

  • Posted at 20:43 on Nov 30, 2005
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基礎知識はこれでお勉強

私は海外に行ったことがないので、「ニューヨーク」とひと口に言ってもさっぱり分かりません。だいたい「トラヴェラーズ・チェック」がなんなのかも知らないんだから。
基礎知識はちゃんと勉強しないと、ということでこれをとりあえず買ってみました。

「’05-’06 地球の歩き方 ニューヨーク」
1700円! 高ぁ?い、けどしょうがない。けっこうな情報量なので(500ページ超)じっくり読みます。

そもそも日本円をどこでドルに変換できるのでしょうか。為替で一時、1ドル80円を切ったときが強烈に印象に残っているので今はなんだか「損だな…」とか思ってしまいます。

まぁ、とにかくお勉強。

「東京奇譚集」 – 村上春樹

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村上春樹 「東京奇譚集」

春樹さんの最新小説、五編の不思議な話。とても楽しく読むことができました。短編集なので気楽に読めますし。それでも春樹さんの魅力が端々ににじみ出ており、ファンとしてはうれしい限りです。

春樹さんの小説ではよくあることですがいわゆる“答え”は出てこないので、物語の不思議さに、また謎に“答え”を求める方、また“答え”が与えられないと消化不良のような、満足できない、という方は読後に「?」が残って落ち着かないかもしれません。
「謎」は「謎」として受け入れてしまえる方は物語を楽しむことができると思います。

この「東京奇譚集」に収められているお話にもたくさんの不思議、謎が出てきます。でもそれらを「解決」しよう、という種類のものではありません。
「こんなこともあるんだ」「こんなこともあるのかもしれないな」
そういう風に読める方はとても楽しめる作品だと思います。私は好きです。現実世界でだってそうそう「答え」なんてあるものじゃないし…ね。

「東京奇譚集」には五編の物語が収められているわけですが個人的に気に入ったのは、「偶然の旅人」と「どこであれそれが見つかりそうな場所で」です。
春樹さんは短編をまず書いて、それを長編小説に新たにもっていく、という形をとることがあるので、もしかしたらこれは長編でまた書かれるかもしれないな、などと思うものもありました。

この前も少し書きましたが、今回の装丁は個人的に大好きです。カヴァーも落ち着いた和風という感じで深みがありますし、中の紙質や色も好みです。
そして忘れてはならないのが書体。楷書体を少し滑らかにした行書になるのかな? 最初慣れるまで2,3ページかかるのですが、のちにそれがとても馴染んで、「この書体がいい」というふうになりました。味わい深い書体です。日本語の美しさを実感した書体でした。

ごちそうさまでした!

  • Posted at 18:00 on Oct 22, 2005
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