生むべき宿命と、生まれるべき宿命

「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある。」
「あなたが生まれなければ、
この世に生まれなかったものがある。」

昨年の9月に東横線車内で目に留まった広告。
いい広告だと思います。励みになる言葉ではないでしょうか。

ものづくりや芸術方面を生業にしていると、「好きなことを仕事にできていいですね」というような意味合いのことを言われることがあります。確かにそれも一理はあるので「そうですね」と返すことが多いのですが、しっかり考えると「そう簡単な話でもないんですけどね」というのが正直なところです。(笑)

厳密に言えば、「したいから」「好きだから」やっているわけではないのです。
「作らねばならない」「生み出さねばならない」、言ってみれば「責任」なのです。

背負ってしまった以上、生み出す使命がある。それを放棄しては自分が生きている申し開きができない。そういう意識でやっている人が多いのではないでしょうか。(実際にそういう話を誰かとすることはないので分かりませんが。。。)

生むべき宿命。
自分の中には生を受けた「生まれるべき宿命」の子がいる。
「作品」を「子どものよう」と表現しますが、そうではないです。「子ども」なんです。

それは確かに偽りなく「素晴らしいこと」であるのですが、「ものすごく、しんどい」ことでもあります。自分の身を削る以上の痛みを伴う人生。
経験者だから言えますが、実際に身を削るのはこれに比べれば痛みなどないようなものです。身を削る程度、テレビ見ながら耳かきしているようなものです。

だから僕が伝えたいのは、自分の中に「生むべき存在」があるなら、絶対に生んでください。自分も絶対に生み出します。(もっと深いレヴェルの話をすれば、全ての人に「生むべき存在」があるのですが。)
そこから逃げることは出来ません。背負ってしまったものなのです。「ああ、自分は“そう”なんだ…」と諦めてください。><

そんなことを思った車内広告でした。同じ広告を僕Verで作るとすれば、

「あなたはそれを、
生み出さねばならない。」

「ハァ?」とか言われそうですね。(笑)

  • Posted at 02:03 on Jan 27, 2010
  • | 8 Comments

8 Responses

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  • HAL says:

    私がまだデザインを学ぶ学生だった頃、アルバイト先の喫茶店に
    近くの印刷会社の社長がいつも来ていて、お給仕する私に
    「アルバイトとはいえ、こんなことしてても身にならんよな。」といいます。
    早く何がしかのことをしたいと考えてたので、「そうですね。」と答えると
    「それは使命感やねん。」と言われました。
    そして私にロゴマークを作る仕事をくれたのを思い出しました。

    私はもう隠居の生活のようですが、若い頃にしかできない事は確かに
    存在しますね。でも、毎日毎日生み出していく作業はしんどかったです。
    我が強かったので生み出しても相容れないクライアントにセンスない
    やっちゃな~とか思ったりね。それこそ傲慢です。(笑

    私も子供達を見ていると、こんなに力があるのにそれをもっとアプローチ
    する術を何故知らないのかと思ったりしますが、それも自分で見つけて
    いくのも修行でしょうね。
    糸井重里に憧れて、デザイナーからコピーライターになる修行をした事が。
    とある広告代理店に就職しましたが、このキャッチのようにカッコイイ仕事
    ばかりではありませんでした。
    紆余曲折、曲がり道くねくね~の青春時代であります。(笑

    noriさん、頑張ってね。あなたはそれを生み出さねばばなりません。^^v

  • u says:

    >「あなたはそれを、
    >生み出さねばならない。」

    はい。

    この言葉、素敵な応援に聞こえます。
    仕事、がんばろっと♪

    thanks!

  • miki says:

    素敵な広告だね!ただ生み出すだけではなくて、その先に他者とのつながりがあるんだよ、っていうことを感じさせてくれる、そんな広告だと思いました。

    私は、あまり何かを「背負ってる」と感じたことはないかもしれない。むしろ(私の場合は音楽だけど)つくったりしないことが自分の中の自然な事柄に反している、ということはわかるのだけれど(つくらなかったり、唄わなかったりしてると具合が悪くなることから)。なので、逆を言えば、何かを表現することは、「お腹が空いたから食べる」「眠たいから寝る」というのに似ているかも(笑)。多少身を削っても、おいしいものを食べたいし、ふわふわのベッドで快適に寝たい、だから、頑張れる、みたいな(笑)。

    あと、他にも科学者やお医者さんとか、やはり何かを専門に研究している人とかには、自分には想像できない、それこそ責任とか、背負ってしまっているものがあるんじゃないかなぁ、、、とか、ふと思いました^^。

  • >>HALさん
    その社長さんはすごいですね。見抜いていたんだなぁ。

    > センスないやっちゃな~とか思ったりね
    ものすごくよく分かります!(笑)
    うそでしょー!?みたいなことよくありますよね。

    くねくねの曲がり道、ぐるぐる回っているだけのような道が
    他の何物でもない、最短の道なんでしょうね。
    ほんとやっかいなもんですね、青春って。
    そろそろ直線道路を走りたくなってきました。(笑)
    がんばります!

  • >>u
    応援してるよ~
    お互い倒れない程度にがんばりましょ-!

  • >>mikiちゃん
    ほんとそうだね。
    作品って言ってみれば世界との対話だと思う。繋がってるんだよね~

    なるほど、それが「あるべき姿」なんだね。
    そういうのってよく分かります。
    作ってないのって「こんなの自分じゃない!」って思うもの(笑)

    風邪は治ってきたかな?
    お大事に。

  • miki says:

    >作ってないのって「こんなの自分じゃない!」って思うもの(笑)
    うん。ほんとにそうなんだよね、本来の人間のあるべき姿としては。

    実際に多くの人が芸術なり、何かを表現することで生活していきたいと願いながらも、それが難しいのは、やはり、今の世界のせいだとも思う。一般的に芸術家って、ごくごくごく限られた人しか認めてもらえないし、それ以前に経済的な安定がないとやっていけないし(笑)。そして、その価値(表現することの素晴らしさ)をきちんとわかっていない人も多いと思う。欧米では老若男女を問わず、芸術家を経済的に支援したり、国をあげて、才能を育てていこうという、意識、姿勢が強いと思うの。日本は国家予算の組み方からして、残念な感じだし、、、途中で挫折してしまう人が多いのも仕方ないかな〜って思う。

    それとは別に、ただ、ものをつくったり表現したりすることは、自然なこと、と思うんだけどね。

    なんか、熱く語っちゃったけど(笑)、noriくんは、それをするべき人だから、頑張ってね!

  • >>mikiちゃん
    たしかにそういうのもあるかも。
    子どもの頃からしてさ、
    「そんなのでどうやって食べていくんだ?大学行かないだと?」みたいなことを言われて育つじゃない。
    「オー ワンダホー ガンバリナサーイ!」じゃないよね(笑)
    僕は子どもにそう言いますがw

    いや真面目な話、外国でも親はそういう心配もちろんするだろうけど
    社会全体としては歓迎する空気がもっとあるような気はするよね。
    街中で演奏したりパフォーマンスしたり、っていうのを見ても。みんな楽しそうだもの。
    「作ることは楽しいんだ、表現することは楽しいんだ」っていうそういう雰囲気って大事だと思う。
    それが売れればもう言うことないよね!(笑)

    ありがとう、お互いがんばろう!