Mac mini (Late 2009) を SSD に換装する
Mac mini (Late 2009) モデルを使用しています。今ではアルミニウムのユニボディとなっていますが、初代から続いたアルミニウム+ポリカーボネートのツートーン Mac mini です。それの最後のモデルだったみたいですね。白い Mac って好きなので一番いい時に買ったのかも。
Mac mini購入v – March 21st, 2010
メモリは去年か一昨年くらいに 8GB に増設していたのですが、ドライヴについては HDD のままでした。私はもう「起動ドライヴは SSD じゃないとやってられない」身体になってしまっていますので(笑)、長らく不満の種でした。
できるならさっさと換装してしまいたかったのですが、Mac mini は分解しないと内部にアクセスできないため(現行のユニボディタイプならばメモリは簡単に換装できる)、一度メモリの換装で分解を経験している身としては重い腰が上がらなかったわけです。とは言ってもいつまでもこのままではストレスが溜まりますので一念発起して換装した次第。
メモリの時は記事にしませんでしたが、今回の SSD 換装についてはその効果たるや感涙ものですのでオススメという意味でも記事にして紹介します。
私は自作 PC にいくらか慣れていますので換装自体はなんということはないのですが、初めてという方でも「挑戦してみようかな」と前向きに思ってもらえるように、できるだけ作業工程そのものよりも「ものの見方、注意すべき点」という経験がないとなかなか分からない点に注目したいと思います。
本記事での Mac mini は Late 2009 モデルですが、それ以前のモデルについても内部構造はそんなに変わらないので参考になるのではないかと思います。
型番や発売時期(Mid 2008 や Late 2009 などといった表記)と、「分解」や teardown などといったキーワードで検索するとピンポイントで見つかるかもしれません。
なお、このような記事でよく目にする「自己責任で」という文言はあまり好きではありませんのでそうは言いませんが、大事なことはあくまでも「分解する」という事実です。慎重に作業する必要があります。手を出す前に観察して把握に努める、という基本的姿勢も必要です。細かい作業は気が狂いそうになる、という方にはハードルが高いかもしれません。(^^;
もしお知り合いに経験者がいれば一緒にやってもらうのもいいでしょう。一度実際に見てみると「こんなものか」と自信が出てくるかもしれません。デジカメなどで逐次記録しておくのもお勧めです。私はこのような記事にするつもりがなくても写真に収めます。どこがどうなっていたかあとで確認できるからです。
分解に大事なことは「元通りに戻す」という相反するように見えるひとつの真理です。元に戻せないのであればそれは分解とは言いません。作業工程をひとつひとつ記録しておけば、それは童話の「パンくず」となってあなたを元の世界に連れ戻してくれる助けになってくれるでしょう。健闘を祈ります。(`・ω・)b<ビシィ!
まず用意するものですが、テレホンカード、パスネットなどの「薄くてしっかりしたカード」を4枚。それと「できるだけ薄いフライ返し」です。
フライ返しは Mac mini の筐体の隙間に突っ込んで「固定されている爪を外しながらテコの原理で持ち上げる」役目を担います。4枚のカードはその際に Mac mini に傷がつかないようにするためのもの。2枚の間にフライ返しを突っ込みます。それが左右で4枚。Mac mini にいくら傷がつこうがまったく構わない、という場合でもカードは使った方がいいと思います。傷防止だけでなく「フライ返しを挿入しやすくするためのガイド」の役目も果たすからです。「カードがなければその分隙間があるわけだから挿入しやすさは変わらないのでは」と思われるかもしれませんが、よほど薄いフライ返しでないと難しいと思います。
またこの作業によってフライ返しが曲がったりしてしまうかもしれません。100円ショップなどで売っているそうですので、気になる方は探してみてもいいかも。
Mac mini 分解専用のフライ返し(のようなもの。「スクレーパー」という金属製のヘラ)もあります。やりやすいのだろうとは思いますが、わざわざこのために買うほどのものでもないと思い私は使っていません。
写真にある以外で用意するもの・したほうがいいものは、細めのプラスドライバ。作業中 Mac mini に傷がつかないように大きめのタオル。バスタオルでもいいです。ネジなども転がっていきませんので、使うといいです。
最後に、静電気には要注意です。特に内部を分解する際には電子部に手で触れることになりますので静電気を逃がしてから触ることに留意しましょう。机が木製ならそれに触るだけで静電気は逃げます。
ちなみにパソコンはテレビなどと違って、電源コードを抜いておけばどこを触っても感電するような心配はありません。
分解するにあたって、必ず見るべき作業工程の動画がこれです。
実際必要になるプロセスはすべてこの動画で説明されています。
Mac mini (Early 2009) Memory Upgrade – YouTube[youtube.com]
これはメモリ交換のものですので、今回の SSD 換装は途中から別の作業になりますが、そこを除く前後はこの動画の通りにするだけでOKです。まずは一通りご覧になってください。作業の途中でも分からなくなったら別のパソコン、スマートフォンなどで参照するといいでしょう。
またこちらのサイトも目を通しておくことをお勧めします。
Mac mini Model A1283 Teardown – iFixit[ifixit.com]
Cipher | Mac mini ケースの開け方[cipher.client.jp]
では早速始めましょう。Mac mini を裏返します。写真のように背面側を手前に置いてください。
Mac mini 筐体の外側のアルミニウム、そして通気口の空いた白いプラスティックの枠があります。その間にカードやらフライ返しやら突っ込んでまずは内部にアクセス出来るようにします。
え、隙間なんてない? 引き返すなら今のうちですよ、フフフ…。
注目するとわずかに隙間があるのです。がんばれば入れられます。専門の人もここにスクレーパーを差し込んで分解作業を始めますので間違っていません(カードは入れませんが)。
コツは、「背面側寄りの角付近の隙間」が比較的開いているのでそこを利用することです。
まずカードの角を、弧を描いた筐体の角の隙間に差し込みます。
そしてそのまま前方方向へ滑らせていきます。
カードを滑らせながら同時に隙間にカードを押し込んでいくと、綺麗に入った状態でカードを挟んだ状態にできます。
なお、深さはそんなにありません。平らに入った状態で押し込んでみてこれ以上は入らない、というところでOKです。
2枚目を入れるときも同様です。1枚目のカードを角付近まで引っ張ってきましょう。そして「1枚目のカードとアルミニウム枠」の間に2枚目のカードの角を差し込んで、滑らせつつ押し込みます。
これで2枚のカードが入ります。左右反対側も同様にします。既に片側が入っているのでより難しいかもしれません。
そこ、必死に指で引っ張ったって広がらないから。それアルミだから。
左右に2枚ずつ入った状態。カードの位置はここでOK。真ん中あたりにする必要はありません。
これでフライ返しを入れて筐体を開ける準備が整いました。
2枚のカードの間にフライ返しを入れます。フライ返しの向きはこれで。
普通にやっても入りませんので、力をいれてぐいぐいと押し込みます。すると隙間が広がって入ります。
フライ返しまで入った状態。隙間が広がっています。
そしてフライ返しを外側へ倒すようにして Mac mini の本体を持ち上げるようにします。くれぐれも乱暴にはしないように。このとき、内部の爪(白いプラスティック枠に爪が付いていてアルミニウムの外枠を固定している)をフライ返しで外しながら持ち上げている状態。無理にやると爪が折れてしまうこともあるようです。パキパキと音がするかもですがそれは爪が外れている音だと思います。
写真くらいまで持ち上がったらとりあえずOK。カードはそのまま、フライ返しだけを抜いて今度は反対側を。
同様にカードの間に押し込んでぐいぐいと持ち上げます。最初より楽にいくはず。
爪は背面側を除く三方にあります。
ここまでくるとおそらく残っている爪は「左右側の正面寄りの1つ」と「正面側」。
カードを滑らせて正面寄りに持っていき、フライ返しでくいっと持ち上げます。
この状態で、背面側から持ち上げるようにすると筐体と本体が外れるはず。まだ無理だったら正面側の爪が引っかかっているかもなので、カードとフライ返しを使って正面側も外しましょう。
外れた状態。お疲れ様です。もうこれで作業の半分は終わったようなものです。
分解で大事なことは観察することです。まずは外れた本体を観察しましょう。
Mac mini は内部で二層構造になっていることが分かります。ぱっと目に付く上側が DVD ドライヴ、一階部分が基盤(マザーボード)です。横からよく見てみると、HDD は DVD ドライヴと一緒に固定されていることが分かります。下に見える緑色のはメモリ。
一通り観察したら分解を始めます。まず外すのは4箇所です。1つはコネクタ、3つはアンテナです(WiFi が2つと Bluetooth らしい)。
コネクタは見た目の存在感が希薄なので忘れやすいかもしれません。外すときは兎も角、作業を終えて元に戻すときにも忘れずに。もし着け忘れてケースまで戻してしまったら悪夢ですよ(笑)。
このあたりの作業は動画が非常に参考になります。4分10秒あたりからです。
アンテナはそのまま引っ張っても抜けません。2本の支柱が爪となって固定しているからです。外す際には指で挟んで爪を穴から抜く必要があります。そうすればあとは引き抜けます。
アンテナを外したら本体から離しておきましょう。バネもなくさないように。
次は4箇所のネジを外します。右下のものだけ奥まっているので注意です。ネジ自体もここだけ長いものになっています。
よく確認せずに回していると空転してねじ山を舐めてしまった、なんてことがありますので、しっかりドライバとねじ山が噛み合っているか確認して外します。
4本のネジを外したら上層部分を持って外します。ちょっと引き離すようにすれば外れると思います(SATA インタフェースカードが挿さっているから少し力がいる、後述)。
先ほどのアンテナ部分のバネと、このネジ。Mac mini については一本のネジ以外同じですので混ざっても実害はないのですが、分解の心得として紹介。
元通りに戻すためには「混ざって分からなくなった」というのが御法度なわけですが、それを簡単に防止するコツ。位置関係を再現して混ざらないように区分けしておけばいいんです。転がらないようにタオルの上でもいいですが、このように指輪などでも代用できます。ちょっとしたことですが効果的です。
外した上層部分を裏返したところ。まずは先ほどと同じように観察しましょう。どこが固定されているのか(どこを外せばいいのか)見極めます。
計5箇所外す必要があることが分かります。上から(おそらく)HDD の温度監視センサー、そのケーブル、SATA インタフェースカードを DVD ドライヴと止めているシール、ネジが2本です。
SATA(さた、しりある・えぃ・てぃ・えぃ)というのはここでは HDD(換装するSSDも)と DVD ドライヴの接続規格のこと。
まずは温度監視センサーを外します。粘着力のあるものが塗られているだけみたい。ケーブルを留めているシールも剥がします。
黒色の基盤に金色の接続部分があるカードが、私が「SATA インタフェースカード」と呼んでいるものです。正式名称は分からないので、役割としてそう呼んでいます。
これを外す必要があるのですが、シールと2本のネジで DVD ドライヴと固定されているので、まずこのシールを剥がします。指で剥がしにくいときは、細いマイナスドライバなどを隙間に差し込み、そのまま持ち上げてめくります。くれぐれもテコのようにして基盤を傷つけないように。動画であるようなプラスティックのヘラでやると安心です。
2本のネジも外します。
SATA インタフェースカードをまっすぐ引き抜きます。
外すとこんな感じ。L字になっていますね。これで間違った向きに接続しないように出来ているわけです。
L字が2つずつ並んでいますが、短い方が SATA、長い方が電源です。
HDD を外します。4本のネジで固定されています。
ネジを外すと HDD が取り外せるのですが、横からは抜けないので持ち上げてから手前に引き抜きます。入れるときは逆に。
DVD ドライヴにはシースルーなところがありました。写真を載せる意味はないですがかっこよかったので。:)
HDD を見てみると、クッション材のようなものが2つ付いています。
今回換装する SSD は Kingston の SVP100S2/96G のリファービッシュ版。秋葉原のアークで9,990円。東芝製コントローラ採用品で好きな SSD です。今度後継モデルが出るのですが、そもそも Mac mini は SATA 3.0 ではありませんし、現行品で十分。信頼と低価格で本品をチョイスしました。
リファービッシュ品についてはこちら。
アキバで増える「リファービッシュ品」、ハズレを引かない選び方 – デジタル – 日経トレンディネット[trendy.nikkeibp.co.jp]
HDD についていたクッション材(のようなもの)も SSD に付けておきます。
SSD を装着。浮かせながらネジ止めすることになります。手が小さくて持ちにくいということがあれば適当に何か挟み込んで SSD を浮かせれば楽にネジ止めできるでしょう。
SATA インタフェースカードを装着します。各コネクタが対応するように確認してください。コネクタを合わせて押し込みます。
ちゃんとはまれば隙間ができません。ケーブルを挟み込んでいないか確認してください。
また、ケーブルはガイドがありますのでその溝に押し込んで泳がないようにします。
最後に SATA インタフェースカードのシールとネジ止めを。
温度監視センサーを戻します。
SSD は回転部位がないため、HDD よりもずっと低発熱です。ですので本来は温度監視センサーなどは必要ないのですが、温度が検知できないとエラーを吐き出す恐れがあるので、SSD にも同じように付けておきましょう。そのほうが間違いはないです。
基盤に戻します。SATA インタフェースカードの接続端子(金色の部分)と基盤のスロット位置を合わせ、軽く押し込みます。
あとはもう簡単です。外した逆順で辿ればいいだけ。動画では5分16秒から。
さて、後戻りできるのはここまでです。ケースをはめたらもう戻れません(え?)。ラスボス前です。ちゃんと確認してください。
私が「忘れやすいかも」と言ったコネクタも接続しましたか?
作業机を見渡して、ネジやバネが残っていたりしませんか?
なんだったらここで起動試験をしてもいいかもしれませんね。
爪がカチッとはまったら背面をチェックします。ここで隙間ができていなければちゃんとはまっています。
お疲れ様でした。
取り外した HDD は SSD の箱に入れておきましょう。
その後 OS の再インストール、各自環境をセットアップし、動作に問題がないようであれば今回の換装はめでたく終了となります。
もうしばらくはいじることもないでしょうから、これは Mac mini の箱にでも入れて保管しておけば、いざという時でも無駄に探さずに済みます。
SSD 搭載の Mac mini は非常に快適です。
電源ボタンを押してからログイン画面(自動ログインをオフにしている場合のパスワード入力画面)まで、以前は47秒でしたが、21秒に。
Firefox などは起動まで Dock で数バウンドしていましたが、一回跳ねただけで起動します(笑)。
Parallels にて Windows 7 を動かしていますが、そちらもキビキビです。
パーツ換装の難易度の高い旧 Mac mini ですが、新型に買い替えるより一度やってみようかな、と思われた方は是非挑戦してみてください。
念のため、事前のバックアップはお忘れなく。
…え? 片付けてたらネジが1本出てきた?
あー、それ「最初に戻る」です。おつかれさまです。(敬礼!
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