新しい三脚を購入、そしてミニ三脚のすすめ

SLIK SC 504 DX

新しい三脚を買いました。
今まで使っていたのは家にあったお古の三脚、SLIK の「800G」という機種。父上に聞いたところ40年くらい前に買ったものだそうです。コンパクトで軽量、私のカメラ E-5 に望遠レンズを着けると流石に頭でっかちというか、バランスに気をつける必要がありますが、それでも長きに渡って大いに役立ってきました。それが先日三脚の一部分、パンストッパーというプラスティック製の部分が割れてしまい(既に割れてたのを気づいただけかもしれない)。即座に安定に問題の出る部分ではないのですが、劣化しているしるしでもあるので思い切って買い替えることに。ちなみに修理部品は既になくなっているので修理可能機種から除外されてましたw

そこで初めて三脚というものをちゃんと調べたのですが、三脚と一口に言ってもその実は大きく分けて2つの部品から成ります。
まず「脚」。最近ではアルミ製のものとカーボン製の2種類が主流。アルミは安価、カーボンは高価ですが軽量という違いがあります。
そしてもうひとつの主な部品というのは「雲台(うんだい)」と呼ばれるもの。これは三脚の脚の頂上に取り付けて、カメラを装着するための部品です。

三脚というと、主たる性能は脚によって決まるような印象がありましたが、調べてみるとむしろ三脚の性能や使い勝手を決めるのは雲台でした。
脚の方は単純なんです。自分が使っているカメラやレンズの重量をクリアしているクラスのものを選び(だいたい搭載機器重量で脚のサイズ、太さが決まります)、あとはアルミ製がいいかカーボン製がいいかを決めるだけ。

ところが雲台となると話は違います。使い勝手も千差万別、カメラの動かし方にも得手不得手があります。
最近では縦方向の移動(チルト)と横方向の移動(パン)を操作するハンドルと、傾き(横位置・縦位置、その他水平位置)を調整するハンドル、つまり「2ハンドル3ウェイ雲台」が多いようです。脚とセットになって販売されているものではほとんどがこの2ハンドル3ウェイ方式の雲台でした。
この2ハンドル3ウェイ雲台は水平をとることが重要になってくる風景写真に便利なようです。ただ実際に触ってみたところ、私にとってはハンドルが2本もあるのが収納時面倒だなあという印象でした。ハンドルは取り外せるようですがそれも面倒なので。考えてみれば水平をとることが重要な撮影を全くと言っていいほどしません。三脚を使って撮影するのは「打ち上げ花火・稲妻・ブツ撮り」くらいなので。

雲台の種類にもうひとつよくあるのが「自由雲台」と呼ばれるもの。これは可動部がボール状のものになっていて、その名の通りグリグリ自由に動かせます。これは一つのレバーだけで全ての動きを制御します。よって水平位置をとったりという精密調整は不利ですが、そのアングルのフットワークの軽さは特筆ものです。

三脚選びのステップは整理するとこのようなものになるでしょうか。

  1. まず自分が三脚を使って撮影するのは何か、を見極める。月などの天体なのか、風景なのか、ブツ撮りなのか、等々。
  2. 三脚使用撮影時に使うであろうカメラとレンズの重量を把握する。これによって雲台と脚の搭載機器重量スペックが絞られる。雲台と脚にそれぞれ搭載機器重量スペックがある。図式にするとこういうこと。【(カメラ+レンズ/雲台)/脚】
    厳密に従わなければいけない基準ではないが、マージンを取っておけばそれだけ安定・安心に繋がる。ちょっと引っかけてしまっても倒れる心配はない。長尺の望遠レンズなど、重心が中心からぶれやすいカメラを使う場合は従っておいた方が無難。
  3. 雲台の方式を決める。大まかに言えば2ハンドル3ウェイか自由雲台。できれば三脚売り場で実際に操作してみて好みを見つけるとよい。
  4. 脚の素材を決める。アルミ製かカーボン製。
    アルミ製は安価な上、ストッパー(後述)の利便性が高いものが多い。一方カーボン製のものは「アルミ製に比べると」軽いものの圧倒的に高価。旅行によく持ち出し、重量問題がシビアでないのであればアルミ製の方が個人的にはお勧め。
    ひとつ注意点。脚と雲台を別々に購入する場合、脚の搭載機器重量スペックには「雲台の重さ」が含まれていない。カメラと合わせて重さを見積もっておくこと。
  5. 念のため、脚と雲台の接続ネジ径を確認。ほとんどの場合は問題ないと思う。

ちなみにメーカーは日本の SLIK(スリック)[slik.co.jp] と Velbon(ベルボン)[velbon.com] が2強。あと海外メーカーのもあります。

私は今回脚と雲台を別々に購入することにしました。せっかく買うのだから好みの雲台を最初から使いたかったからです。
好みの雲台、というのは雲台を調べていてヨドバシのサイトで見かけたこれ。

マスターデラックス雲台 – スリック株式会社[slik.co.jp]
ヨドバシ.com – SLIK(スリック) マスターデラックスブラック雲台[yodobashi.com]

評判が良かったのでスリックのサイトで見てみると…、ページにあった説明動画にやられました。
なにこれ、何なのこのヌルヌル動くフリーダムな雲台

やばい、これ使いたい…。ということで雲台はこれに決定。さきほど「2ハンドル3ウェイ雲台」と「自由雲台」が主たる2種類と書きましたがこれはマイナーなタイプ、「フリーターン雲台」というそうです。自由雲台のフリーダムさと2ハンドル3ウェイの制御性能、両方の長所を取り込んだ感じでしょうか。何それ最強じゃん。

フリーターン雲台、SLIK マスターデラックス雲台
フリーターン雲台、SLIK マスターデラックス雲台。

私の撮影機器の最大重量は 2.1kg くらい。ですから雲台と合わせても計 3kg となります。

脚ですがお店としてはカーボン製をプッシュしていますね。高いものね(笑)。
でもよほど重さがクリティカルな問題になっている人でない限り、アルミ製のほうがいいと私は思います。理由は以下の通り。

  1. カーボン製[#1]の最大の売り、「軽量」についてだが、正直なところ「言うほど軽くない」。そして価格差がその重量差に見合わない[#2]
  2. 脚の固定方式がアルミ製のものは「レバー式」、カーボン製のものは「ナット式」だった。
    ナット式というのは従来からある、くるくる回して締める方式。レバー式というのは(たぶん)最近出てきたものでレバーの上げ下げだけで脚の解放と固定が行える。圧倒的にレバー式が楽

レバー式固定が感動的
これがレバー部。このレバーを上げれば脚が伸ばせ、レバーを元に倒せば固定となります。
はっきり言って感動的なレヴェルの簡便さ。長くナット式を使っていたので笑っちゃうくらいでした。これ、ある程度手が大きい人なら一発でロックと解除が行えます。掌でバッと。しまうときシュルシュルと脚をしまってそのまま掌でロック。マァーヴェラアァス!
「レバー式だとロックが甘いんじゃないの?」と心配していたのですが杞憂でした。ロック性能も大丈夫です。ひとつだけ最初違和感があったのは「ロック/解除」の2極になるので「少し緩めてちょいちょいと長さ調整」というのがしにくいです。
なぜカーボン製の脚ではナット式が採用されているのかは分かりません。もしかしたら素材的な理由で、圧力に弱いとかかも。

私としては「カーボン製は言うほど軽くない」というのと、この固定方式でアルミ製が存在感を際立たせていました。
メーカーは「800G」を長く愛用したこともあって恩義というわけでもないのですが引き続き SLIK に。

搭載機器重量を考えると脚は 3kg クリアの「SC 304 DX[slik.co.jp]」で良かったのですが、前述の通り雲台は別に購入することにしていたので「脚だけ」のものが欲しかったんですよね。そうするとひとつ上の 5kg クリアの「SC 504 DX」になりました[#3]

SC 504 DX 脚 – スリック株式会社[slik.co.jp]
ヨドバシ.com – SLIK(スリック) SC 504 DX 脚のみ[yodobashi.com]

というわけで「SC 504 DX」+「マスターデラックス雲台」という組み合わせで使っています。めっちゃ快適です。
SC 504 DX には収納・運搬用のバッグがついてくるのですが、この雲台を着けたまましまえる大きさで良かったです。しっかりした三脚が欲しい、という場合にはひとつおすすめの組み合わせかと。


以上が「でかい三脚」になるわけですが、今回は同時に「ミニ三脚」を初めて買いました。ミニというのは卓上で使えるサイズです。
今までは冒頭に紹介した「800G」という大きい三脚(コンパクトサイズではありますが)をひとつだけ持っていたのですが、日々の撮影シーンでは三脚を使いたくても使えない場面がありました。
それが庭で日陰の、しかも地面すれすれの花を撮りたいときです。最近の記事で言うと雪の下などがそういう場面です。
使えない理由は単純で、地面すれすれまで足が開かないから。あと開いたとしても狭い場所で使いにくいということもあります。そこで目についたのがミニ三脚。ミニ三脚のメリットは小ささはさることながら、「脚が限界まで開ける」というのがあります。

ミニ三脚はその低位置が強み
カメラを着けても 20cm ほどのところまで低位置につけることができます。

買ったのは Velbon の「ULTRA MAXi mini III」。

ベルボン株式会社 ウルトラマックスアイミニIII[velbon.com]
ヨドバシ.com – ベルボン ULTRA MAXi miniIII [超小型三脚][yodobashi.com]

ミニと言えど脚を伸ばせば結構ある
ミニと言えど脚を伸ばせば結構あります。卓上でのブツ撮りには重宝しそうです。ただし一眼レフカメラなど重量のあるカメラを装着するときはバランスに要注意。重心が傾く側に脚の一本を位置させるなどして重心バランスには気を遣う必要があります。

ミニ三脚を調べるにあたってここでも SLIK のサイトの動画が参考になりました。

ミニプロ 6 – スリック株式会社[slik.co.jp]

この胸に押しつけて撮る方法は初めて見ました。庭で試しにやってみましたが確かにブレ防止に効きます。ただ地面に触れた脚をつけることになるわけで服装には注意ですね(笑)。

雲台は自由雲台がセットになっている
ミニ三脚の雲台にはだいたい自由雲台がセットになっているようです。たしかにコンパクトなのにグリグリ動きますからね。相性はとてもいいです。この「ULTRA MAXi miniIII」は雲台を交換できるので、換えたければ好みの雲台に換装できます。

ミニ三脚、正直侮っていました。こんなに便利な物だとは思わなかった。
卓上ブツ撮りや庭での花撮影にはもっぱらミニ三脚を使うようになりました。大きい三脚はいらないなぁ、という方でもミニ三脚はひとつあるといろいろ便利です。おすすめ。

  • Posted at 23:34 on Jun 05, 2012
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