宇宙に響く愛の唄

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Bump of Chicken “jupiter

物語性豊かな作品を紡ぎ出す、Bump of Chickenの3rdアルバム “jupiter” (2002年作品)。
これは完成された一枚と言っていいでしょう。それだけ隅から隅までいい! 1st、2ndからここに来てその愛の広がりには感銘を受けずにはいられません。

ごつごつしながらもそこにあるのは、飾らないナマの気持ち。願い。想い。それを貫き通した彼らには惜しみない賛辞を。素晴らしい!

見えないモノを 見落として 望遠鏡をまた担いで
静寂と暗闇の帰り道を 駆け抜けた
そうして知った痛みが 未だに僕を支えている
「イマ」という ほうき星 今も一人追いかけている
( “天体観測” )

君のボールはいつも
届かない所へ飛んでいく
君はボールを何度も
僕に投げた

とれるわけない球も 呆れながらも 必死で追う
「とれなくてもいい」と 微笑んで欲しくない
( “キャッチボール” )

虹を作ってた 一度 触れてみたかった
大人になったら 鼻で笑い飛ばす 夢と希望
ところが 僕らは 気付かずに 繰り返してる
大人になっても 虹を作っては 手を伸ばす
( “ハルジオン” )

耳障りな電話のベル
「元気?」って たずねる 君の声

僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は 忘れるくせに
そのひとことが 温かかった
僕の事なんか 知らないくせに
( “ベル” )

最後を締める曲、 “ダンデライオン” は泣けます。泣きました。
あなたの大切な人に、このアルバムを贈るのもいいのではないでしょうか。

深い河の流れに…

宇多田ヒカルの2002年に発表された3rdアルバム、 “Deep River” 。
1stから3rdまで聴いたけれど、この一枚はちょっと他にはないオーラがあります。
正直、恐ろしいくらいに完成度が高い。この時期の彼女になにがあったんだ。(ちなみに “Deep River” リリース3ヵ月後の2002年9月に結婚。)

楽曲のよさもさることながら、とにかく詞がいい。本当に “読ませる” 、素晴らしい歌詞。
これを聴くと、やはり宇多田ヒカルは日本人アーティストでは一線を画していると感じる。

いくつかお気に入りの歌詞を紹介。

いくつもの河を流れ
わけも聞かずに
与えられた名前とともに
全てを受け入れるなんて
しなくていいよ
私たちの痛みが今 飛び立った
( “Deep River” )

今日話した年上の人は
ひとりでも大丈夫だと言う
いぶかしげな私はまだ考えている途中
( “Letters” )

見渡す限り広がる
嘘の咲かない草原を
夢の中で見たことがある
そこで君を待ってる

感動的に終わるストーリー 始まりは
あの日君が言った I love you
待ちきれないよ 後半スタート
( “嘘みたいな I Love You” )

途切れないように Keep it going, baby
同じ気持ちじゃないなら tell me
無理はしない主義でも
少しならしてみてもいいよ
( “FINAL DISTANCE” )

“FINAL DISTANCE” は宇多田ヒカルで一番好きな曲。( “DISTANCE” より “FINAL DISTANCE” 派)

ブックレットに至っても一貫して「光と影」が表現されています。暗い河の流れに、月明かりがちらちらと反射しているような、そんなひととき。
可能な限り良いオーディオ環境でじっくり聴きたい一枚です。

ヒッキー、あなたはすごいよ、ほんとに。まじで。

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宇多田ヒカル “DEEP RIVER”

わたしは甘えているのでしょうか? 27歳・OL

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村上龍 「わたしは甘えているのでしょうか? 27歳・OL」

本屋で見つけて買った本。
村上龍さんがバカバカしくも切実な悩みに答えています。これが良かった。
質問者は多くが女性のようですが、村上さんが甘やかすのではなく、現実に沿った見方で、かつ優しく答えているのが印象的です。

正直、今まで村上龍さんの小説は、デビュー作の「限りなく透明に近いブルー」、そして「コインロッカー・ベイビーズ」の上巻しか読んだことはなく、どうもいまいち肌に合わないな、と感じていたのですが、今回この本を読んで(小説ではありませんが)、村上さんにとても好感を持ちました。すごい優しい方だな、と。そして現実的な方だなと。

私が関心したのは、村上さんが一貫して、例えば職場で悩んでいる質問者に対して、体を壊したり、不眠になったり神経症になったりするのなら退職や転職を考えるべきだ、まず体や心を正常に戻すことを優先すべき、と言い切っているところです。
これって本当に優しい人じゃないと言えないと思う。

また全体を通して歯切れ良く語ってくれるので気持ちいいです。ひとつのやりとりも短いのでさくさく読めると思います。
非常におもしろい本です。男性にも女性にもおすすめ。

  • Posted at 21:50 on Dec 13, 2006
  • | (Closed)

意味がなければスイングはない

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村上春樹 「意味がなければスイングはない」

春樹さんが音楽についてたっぷり語った本、「意味がなければスイングはない」を読了。ゆっくり楽しませていただきました。

ここでは春樹さんが

・シダー・ウォルトン 強靭な文体を持ったマイナー・ポエト
・ブライアン・ウィルソン 南カリフォルニア神話の喪失と再生
・シューベルト「ピアノ・ソナタ第十七番ニ長調」D850 ソフトな混沌の今日性
・スタン・ゲッツの闇の時代1953-54
・ブルース・スプリングスティーンと彼のアメリカ
・ゼルキンとルービンシュタイン 二人のピアニスト
・ウィントン・マルサリスの音楽はなぜ(どのように)退屈なのか?
・スガシカオの柔らかなカオス
・日曜日の朝のフランシス・プーランク
・国民詩人としてのウディー・ガスリー

とたっぷりと語ってくれます。

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  • Posted at 10:43 on Nov 23, 2006
  • | (Closed)

Rose Garden by Kanako Sasaki

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先日紹介したKanakoさんによるオープンギャラリー、Rose Garden。行ってきました。
ちょっと分かりづらい位置にあって最初は気づかず、必死に住所を思い出してみたものの北青山と南青山を間違えてたのでものすごい探すはめに。(笑) 迷ったおかげで日本茶カフェを見つけられたのですが。
ハナエモリビルは北青山3-6-1、表参道ヒルズのすぐ近くです。(道の向かい側)

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ビルの横の通路、銀行側です。

そして感動の作品はこちら!(クリックで大きいサイズが見れます。)
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これが一直線にどーんと。機会があればぜひ実物をご覧になってください。11/10までとのことです。

佐々木香菜子さんについてはこちら
作品の一番右にもプロファイルが書かれていましたが驚き!
83年生まれ… すごい。自分よりもっと上かと。。。このずば抜けた世界、めちゃくちゃ刺激を受けます。感動。

今回のギャラリーについて詳しくはこちらをどうぞ。
かわいい… まいったなぁ…。

  • Posted at 00:31 on Oct 21, 2006
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