YEN TOWN BAND ”MONTAGE”

いつまでも残る余韻…。
前にもあとにもこの1枚のみ。まさに珠玉の35分間。

YEN TOWN BAND、”MONTAGE”。

そもそもYEN TOWN BANDとは、90年代中頃(ちょうど私の中学時代)に小室哲哉とともにプロデューサーブームを築いた小林武史と、中毒性をもつ歌声を奏でる歌姫、CHARAによるコラボレイトバンド。
そしてそれは、映画「スワロウテイル」(映画は観ていません)に登場する架空の無国籍バンド。このあたりの演出、うまいですね。

作品としてはアルバム1枚、一回ぽっきりなわけですが、この”MONTAGE”がよい。
今聴いてもその輝きの片鱗はまったく色褪せていない。それどころかますます濃縮された甘みと苦味を持つ作品に成長していきます。
懐古主義者ではありませんがどうしても感じてしまう。もうこんなに美しくも儚い名盤は出ないのかと。

ところで「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」、これは父親との親子愛のように感じるのですがどうなんでしょう。
個人的には「小さな手のひら」がとても好きです。

全8曲。35分44秒間。
そのあいだは、アゲハチョウが自由に舞うのです。
そしていつも、見たこともない蝶を目にした少年のように、呆然とただただ夏の陽の下立ちすくんでしまうのです。虫取り網を握り締めたまま。

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YEN TOWN BAND “MONTAGE” (1996年作品)

山口由子 ”Hotel Scandinavia”

ちょっと自分が気になる1枚を紹介したいと思います。別に熱中はしていないけど、ずーっとあるところに引っかかり続ける1枚。
山口由子、”Hotel Scandinavia”。

これは本当に不思議な1枚です。
泣くほど感動的なものでもない、特別心の琴線に触れるわけでもない。
それでも、「もういいから売ろう」とは思わない。なんだか分からないけれど、ずっと手元に取っておきたい。

そもそもこのCDを買ったきっかけは、購入者プレゼント目当てでした。
電車の中の広告で見たのですが、山口由子自身が選んだ北欧チェアが当たる、というものでした。結局椅子は当たりませんでしたが、そんな動機で買ったこの1枚は今もシェルフの中にたたずんでいます。

作品のテイストは、スウェーディッシュなナチュラルポップス。山口由子の吐息まじりの、熱くも穏やかな唄。
しかし繰り返しになりますが、ここがかっこいいとか、この詞が胸に響くとか、そういうのはとくにない。
もちろんかっこいいし、かわいいし、愛しい曲たちです。でもそれらは普段言うような「これかっこいい! いい詞だ!」という種類のものではない。ただただ“なんとなく”いつまでも心に残り、「もういいや」とはならない。
胸の中の草原にふわりふわりと降りてきて、そのまま草の上に居座っているような情景。
良質のポップス。そう言えるのかもしれません。

私の気に入っている言葉、
「退屈でないものに人はすぐに飽きるが、
飽きないものはだいたいにおいて退屈なもの。」(村上春樹)
をふと思い出します。
なにか特出したものではないけれど、いつまでも残る音楽。不思議な魅力がにじみ出る1枚です。

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山口由子 “Hotel Scandinavia” (2001年作品)

  • Posted at 23:37 on May 20, 2006
  • | (Closed)

まず知ること、選択はそれから ― 食品の裏側

本屋でピックアップした本ですがこれはすごい。オススメです。

「食品の裏側 ― みんな大好きな食品添加物」

食品添加物を扱った本ですが、危険性を煽る今までの本とは違います。
まず明確にすべきなのは著者の狙いですが、食品添加物の実態を暴いて、その危険性を認識し、避けなさい―
そのようなこの類の書籍に見られがちな従来のスタンスではない、ということです。

著者自身は食品添加物の神、とまで言われた人物ですが、本書の目的は、食品添加物そのものだけでなく食品業界の実態をまず「知ること」、つまり食品の情報公開です。
そこから先は消費者個人が選ぶべき問題であり、まずは「実態」が明らかになるべきであろう、と。そして現状はそうではない。

その「実態」とは食品添加物と食品業界の内側なわけですが、この本には難しい化学名称を並べ立て、これこれにはこのような危険性が指摘されている、というものはありません。むしろ、食品添加物の恩恵にも何度となく注目しています。
商品の原材料名ラベルの裏側はこうなっているんですよ、というのが主なアプローチです。そして目的は、それを正しく知ってから選んでください、というもの。

食品添加物のない食べものを探し出し、それを日々の生活の中で続けるのは大変難しいもの。
ではどうすればよいのか。そんな現実的な視点が常にあります。そこに大変私は好感を持ちました。
読めば次の食事から食に対する見方に新たな視点が加わります。

ひとつ気になったのは、文中に出てくる(帯にもピックアップされている)、虫を原料とした着色料。
これはおそらくペルーなどで生産されているエンジムシだと思いますが、本書では「虫である」ということで注目させようとしている。「これは虫が原料の着色料なんですよ」と。
これは筋違いではないかと思いました。化学的な着色料ではない、天然のものなのに。この一点だけは本書の中で場違いな指摘を受けている気がします。
もしこの着色料を指摘するならば、それが「虫を原料としている」ことではなく、それを着色料にするまでの「加工過程」に目を向けるべきかと。(その加工過程では化学品が使われます。が、そのことには触れられていない。)
ちなみにエンジムシは、古代から衣料の染料などに使われ、現代では安全性を求める動きから天然材料を使う化粧品などに使われています。

そんなところはありながら、一貫して問題にすべきところを「危険性」ではなく「情報公開のされてなさ」にしているところが評価できます。
おすすめの一冊です。

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安部司 食品の裏側 ― みんな大好きな食品添加物

ただこれもまた帯がお粗末と言わざるを得ない。

「知れば怖くて食べられない!」

違うだろーーっ!!
編集者はちゃんとこの本を読んだのか? 問いたい。問い詰めたい。
序文に書かれている、
「私が主張したいのは、『添加物の情報公開』ということです。」
編集サイドもそういう著者の意向を尊重していただきたい。

上の帯の体裁でやるなら、

「なぜ、特売品は安いの!?」

が妥当かと。なぜ安いのでしょう? その答えはこの本の中に…。

林檎姉さん

この一ヶ月ほどかかりきりになっていた仕事がひと段落し、iTMS(iTunes Music Store)をウロウロしてます。JPNとUSを行ったりきたりしたり。(Firefoxに慣れるとiTunesにもタブ機能が欲しくなります。)
買わずに試聴するばかり、いわばブラウザショッピング。

JPNサイトでは主に個人的に懐かしい系を再発掘。
アルバム丸ごと入っていないかときどき調べるのが椎名林檎。時間が経ってもときどき聴きたくなる数少ないアーティスト。

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5月の壁紙

蜷川実花さんの5月の壁紙、これまたいいですね~。

実花さんの写真は本当に色鮮やかで、世界ってカラフルなんだなぁとしみじみ感動。
「紅の豚」のフィオの、「世界ってきれい。本当にきれい。」という台詞が浮かびます。とても好きな写真家。

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今はminkだけども、

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これもまたいいな。

  • Posted at 13:41 on May 05, 2006
  • | (Closed)