重なり

クリエイティヴ・スタディオ「サムライ」主宰、アートディレクター・佐藤可士和。(効果音出ます。)
彼がNHKの番組、「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演したのが2006年の1月。番組が始まってまだ間もない、第4回目だった。
思えば、このときの放送が彼を知った初めての機会だった。今でも観ている途中、「(自分と)同じだ…」と驚いたのを覚えている。

その放送が未放送分も含めてDVDになったのをやっと買った。定価が3700円となかなか高いので、割引されていたのをチャンスにゲット。
2年ぶりにじっくりと観て思ったのは、彼がすごいのは、「対象への責任感」と「紡ぎ出すヴィジョンの純度」だと思った。
そして、僕が「自分と似ている」と感じているのはこの点なのだ、とも気づいた。

「対象への責任感」の「対象」とはすべてに当てはまる。そのとき向き合っている仕事の案件の商品でもあるし、抱えている迷いや悩みでもある。
そしてなにより自分自身でもある。だからおそらく彼は私生活においても「自分の日常」に対してさえ手を抜くことはないだろう。彼の(おそらく持っているであろう)私用のMacでさえ、整理し尽されていることだろうと思う。
なにが彼をそこまで徹底させるのか。それは単なる「性格」や「好み」の問題ではないと思う。「責任感」がそうさせるのだと思う。整理の例で言えば、煩雑なのは「気に食わない」のではなく、「あってはならない、(煩雑に)させてはならない」という感覚のほうが近いと思う。
だから彼のことを「きれい好き」と呼ぶのは不正確なはずだ。彼にとっては「きれい」とか「汚い」という判断をしているわけではなく、自分にとっての「あるべき姿」にさせているだけなんだと思う。「別にきれいにしているわけではない、ふさわしい状態にしているだけだ」と。
彼がすごいのはその「ふさわしい姿、本来あるべき状態、つまり核心」に対する責任感だと思う。僕はこの純粋で強い責任感に自分自身との重なりを覚える。

彼の仕事にあっても、その責任感がヴィジョンやコンセプトの具現化においてその純度をじりじりと引き上げてゆくのだろう。DVDの中でも彼は「ヴィジョンやコンセプトを磨き上げ、純度を高める」という点について何度か触れていた。

そして僕が一番胸に残った言葉は、

「アイディアは突然ひらめいたりしているわけではない。必ずその対象物の中に答えはある。それが分かるようになってから、アイディアが出なくなる恐怖感はなくなった。
アイディアは相手の中にある。だから必ずアイディアは出る」

というもの。
そう、そうなんだよね。

プロフェッショナル 仕事の流儀・佐藤可士和
プロフェッショナル 仕事の流儀
「アートディレクター 佐藤可士和の仕事 ヒットデザインはこうして生まれる」
– Amazon.co.jp

  • Posted at 20:54 on Jan 19, 2008
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