ここいらでこの3年を振り返ってみるとしようか ―2007年7月から2008年12月―

私は2007年の7月から akari * studio というここ(site-ichijo.net)とは一応別管理と位置づけているサイトで毎月のカレンダー付き壁紙/デスクトップピクチャを更新しています。
そもそも akari * studio を公開した大きな理由は、このカレンダー壁紙を作って公開したかったから、という衝動的なものだった気がします。

そしておそろしいことに、そのスタンスのまま3年が経ちました。飽きっぽいこの僕が(基本的に)同じ事を続けるというのは滅多にないことです。開始当初のサイトをご覧になっている方もおられるかと思いますが、サイトのレイアウトもまったく変わっていませんね(コードは何度か書き直していますが)。これも我ながら信じられません。きっとぴったりとイメージにはまっちゃったんでしょうねえ、最初から。

それで時々考えます。なんで続いているんだろう、と。
思い当たるのは、ひとつに「毎月月初めに一回」というリズムが自分に合っていたこと。多少「めんどくさいな」という時もありますが、月が変わるんならしょうがなかろうという得心がいくテンポでもありました。

ふたつめが、やはり自分の見た最近のものからひとつを選ぶ作業が楽しかったこと。これが一番大きな理由かもしれません。例えば6月のカレンダーを作るのは5月の末になります。だいたい20日付近から「来月は何にしようかなあ」と考え始めます。この時点でネタが決まっていることはほとんどないです。考えつつ、その月を振り返り、「今月自分は何を見てきたのか」と振り返ることになります。これが自分自身にとってとても有意義でした。全然いい写真がなければ、象徴的な意味でそういう月だったわけです。この毎月のカレンダーは、僕個人としてのひとつの月間報告でもありました。

そしてみっつめに、これはお世辞ではなく、この壁紙を気に入って使ってくれている(らしい)他者の存在がありました。例えば友人知人ならば無意識のうちに好意的に見る傾向が人間にはあります。一枚の写真でもまったく見ず知らずの他人のものだったらとくに何も感じないのに、知り合いならばそこにストーリィが生まれるのでいい写真に見えてくるわけです。友人知人の褒め言葉を嬉しくは思いつつも一歩引いて、2割引くらいで受け止める癖が僕にはあります。そういう中でそれまで本当にまったく接点のない方から「きれいですね」とか「壁紙に設定しました」とかそういう感想をもらえるのは僕にはとても新鮮で嬉しいものでした。「自分が綺麗だなあと感じたものが、他の人にも綺麗に見えるんだ」という感触はなんとも不思議なものです。自分の感覚が特殊だとかそういうことではなくて、単に他者との共有体験が僕はきれいさっぱりすっぽ抜けているので(笑)、「きれいでしょう?」「きれいですねえ」というやりとりが奇跡に思えるわけです。へぇ、こんなことってあるんだ、と。非常にこれが興味深かったですね。

それでせっかく続いて3年というひとつ区切りのいいこともあり、ここいらでちょっと振り返ってみましょうか、と思った次第。全壁紙を一枚ずつ振り返ってもう一度見てみようと思います。
ひとつの記事に流そうかと思ったのですがあまりにも枚数が多かったので前後編に分けたいと思います。ひと月に複数枚公開したことがあったので36枚以上、全44枚となりました。

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  • Posted at 17:28 on Jun 19, 2010
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横浜開港祭花火大会 2010

第29回 横浜開港祭 花火大会
6月2日に開催された、第29回横浜開港祭花火大会。(オフィシャルサイト
天気も良く風もほどほどあったようで、絶好の花火大会日和だったのではないでしょうか。開始直前に Twitter で開催を知り、急遽セッティングしていつものように部屋で撮りました。
なにしろ海の日の花火大会がなくなっちゃったからね、このチャンスを逃すと次があるか分からない。^^;

伝統的な形の花火
伝統的な形の花火が多かった気がします。まぁ部屋から見えるのはかなり大きい玉に限られるのでそういうのだけが見えたのかもしれませんが(笑)。
でもいいですね、こういう打ち上げ花火らしい花火、好きです。

クライマックスは大きいのがどんどん
クライマックスは大きいのがどんどん。
三脚を揺らさないように(望遠レンズなのでちょっとの振動で思いっきり揺れるんです。35mm判換算で380mmくらい。)離れたところから有線リモコン(RM-UC1、キャンペーン期間中の購入でもらったやつ。すごい便利。)でバルブ撮影。バルブ撮影というのはシャッターを任意の時間開きっぱなしにする撮影方法です。シャッターボタンを押し続けている間、露光し続けます。そうすると花火の火が流れる様子が写るんですね。それでも綺麗に撮るのはすごく難しいのですが。未だに毎回手探りの状態で撮ってます。花火大会ってそうそうないからコツ忘れちゃうしね;

カラフル
ぶれちゃったりしたのもこのくらいのサイズにすると分からないので、まとめて掲載><!

でも少し慣れてきたかな? 調整にそれほど時間をかけずにすむようになりました。
以下、自分向けに備忘録として書いておくと…
今回の絞りは20。焦点距離は190mm。
上昇中からやるとむずいので、爆発直前に合わせると良い。
いい玉が来たら思い切って長く露光すること。数を撮ろうと欲張って切ってしまうと柳のような垂れ具合が撮れない。
クライマックスは丸々見える大きさが続くので、それを見越してセッティングすること。

モーリス・ユトリロ展 -パリを愛した孤独な画家- 7月4日まで

教会、クレミュー(イゼール県)
教会、クレミュー(イゼール県) 1934年、油彩/カンヴァス

東京は新宿、損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「モーリス・ユトリロ展」(フレーム内の個別ページはこちら。終了後も閲覧可能。)を観てきました。

漆喰などを混ぜた「白」が印象的な画家と知られ、いわゆる「白の時代」と呼ばれる期間の作品は評価が高いようです。その後「色彩の時代」と続くのですが、「ユトリロは白の時代」という評が通説のようですね。
しかしながら、ユトリロの人生は孤独と不自由の連続だったようです。アルコール依存症の対症療法として絵を描くことを勧められ、その後は監禁されての制作生活、それも「売れる」と分かってからは家族(親、妻)に無理矢理生活費を稼がされるための。
彼の絵はどんよりとした空、街並みのものが多いです。でもそれも彼の目から見たら格子の内側から思い描いた自由の世界だったのでしょう。

上に掲載した絵は、この展覧会で私が一番気に入った絵です。物販コーナーでこの絵の絵葉書を買ってスキャンしたもの。
この絵は上述の「白の時代」のものではありません。でも家々の壁の白、そして手前の幹の生き生きとした表情が「白」のユトリロと「色彩」のユトリロの集約であるように感じられて、一通り観たあとこの絵に戻ってしばらくとどまっていました。
あらゆる意味で囚われていたユトリロ。彼は絵を描くのが好きだったのでしょうか? 描きたいから描いた絵はあったのでしょうか? それは分かりませんが、私はこの絵を見ていると、彼も美しい世界をカンヴァスの向こうに見ていたんだなあと感じられて、すこしほっとするのです。それがあるのとないのとでは、たぶん人生は全く違うものになると思うから。

新宿の空
新宿の空。

  • Posted at 22:33 on May 17, 2010
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カラーネガ現像でOK、ILFORD XP2 SUPER400

冬の木洩れ陽
冬の木洩れ陽。

白黒フィルムにも種類がたくさんあって、とりあえず手頃な値段だったKodakの400TXを基準に始めてみることにしました。
でもその中で気になったのがILFORDの「XP2 SUPER400」。白いパッケージでかっこいい! そして聞いたところによるとフィルムケースも真っ黒でかっこいいらしい。値段は高めなのですが試しにと買ってみました。(フィルムケースは本当に真っ黒でかっこよいです。)

ILFORD XP2スーパー400 135-36枚撮 – ヨドバシ.comの商品ページ

ところが、ががが。撮ったはいいけど現像方法を調べてみると、いわゆるモノクロ現像用のモノクロフィルムではないと。カラーネガ現像でできるモノクロフィルムだったんですね。「カラーネガ現像でもできる」のか「カラーネガ現像でしかできない」のか分からなかったので公式サイトのドキュメントなどをよく読んでみると「モノクロ現像ではできない」でFAのようです。がびーん。無知ってすごい。
ではしょうがない、ということで地元のパレットプラザに持ち込んで現像してもらいました。すごいですね、カラーネガ現像だと店舗の現像マシーンでできるので20~30分で出来上がり。

朝陽
そして出来上がったネガをいつも通りスキャナで取り込んでみて驚きました。今までのフィルムとは全然違う。なんだかすごく滑らか。シルクのようなしっとりとした雰囲気で正直気に入ってしまった。おいおいおい、せっかく自家モノクロ現像できるようになったのに。(笑)
でもたまには撮ってみたいフィルムになりました。しっとり系がお好みの方にはおすすめ!

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  • Posted at 23:05 on Mar 22, 2010
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