11月の柿の木。
青空が綺麗な季節ですね。好みにもよりますが、そんな青空の「蒼」はすっきり・くっきりと写真に写したくなります。ところが実際に撮ってみると分かることですが、なかなか「スコーンと澄み切った青空」を撮るのは難しいものです。青がどこか白んだ感じになってしまい、その色の深みをなかなか写真に落とし込むことが出来ません。
その青を表現したい場合、例えば写真補正ソフトなどで、青空の部分の明度を落とし、黄色をカットしつつ青の彩度を上げるとイメージに近い青空を再現することが出来ます。
2011年11月24日の夕暮れ。以上の2枚はフォトログにも。
一方、街撮りなどで困るのがガラスに周囲の光が写り込んでしまい、中がよく写らないシーン。カメラをガラス面にくっつけて無理矢理撮ることは出来ますが、少し離れて撮ろうとすると「もう全然ダメ」という経験をされたことのある方は多いのではないでしょうか。
簡単に言ってこの2つの問題、「浅く薄い青空」と「ガラスの写り込み」はまったく別のもののような気がしますが、実際のところは非常に似ています。
それは「光の反射」です。ガラスについてはそのままなので分かりやすいでしょう。
では青空がなぜ反射? というと、青空の蒼がどこか浅くなってしまうのは「空気中の水蒸気に光が反射してしまっている」のが原因の一つです。それがいわばキラキラと輝いてしまって白んでしまうんですね。ですから水蒸気の上がりにくい秋~冬は澄んだ青空に見えるのです。
全く別の問題に見えますが、「光の反射」という点に於いては同じ問題なわけですね。
その「光の反射」をカット出来る魔法のようなアイテムがあります。レンズフィルターのひとつ、偏光フィルター(PLフィルターとも。PL = Polarized Light)です。
レンズフィルターとはカメラの交換レンズの先端に取り付けて様々な効果を写真に与えることの出来るもの。偏光フィルターの他にもよく使われるものでは「減光フィルター(昼間でも長秒時撮影するため、また太陽を撮影するために光を大幅にカットする)」や「クロスフィルター(光の粒に光条を加えてキラキラ感を増す)」などがあります。
レンズフィルター – Wikipedia
前置きが長くなりましたが、以前から気になっていた偏光フィルターをこの度初めて買いました。冒頭の写真は初めて使って撮ったもの。いやー、驚きましたねぇ。
一ヶ月半ほど使っていますが、これは「空、風景、街撮り」をする方には必携のフィルターと言っていいと思います。もう「レンズと一緒に購入していいレベル」です。
簡単に効果を比較出来るような写真を撮ってみました(厳密な比較ではありませんが)。
いずれも左側がフィルター未装着、右側が偏光フィルター装着したものになります。クリックで大きいサイズで見られます。
蒼に深みが出ています。
窓の反射光を除去。偏光フィルターを使うと余分な光をカットするため当然暗くなります。シャッタースピードもその分稼がないといけません。この為「シャッタースピードなどの設定条件も同一の比較写真」はあまり意味がないものとなります。
澄んだ青空に。
写真右側にある自動販売機の写り込みを低減させています。しかし、写真中ほど左よりにはずっと後方の看板の反射が残っています。小さな赤い四角のが UNIQLO の看板です。
このように反射光を全てカット出来るわけではありません。「一番邪魔なのを消す/一番写真を良くする為に使う」という使用方法になります。
交換レンズをいくつか持っている場合、まずは「反射光を除去したいシーンで使うレンズはどれか?」を確認する必要があります。手持ちのレンズすべてに対応するフィルターを買う必要はありません。なかなか高額ですし、まずは「よく使う」もので十分です。
例えば私の場合、空を撮りたいときは広角レンズ(Olympus ED 9-18mm F4.0-5.6)、花や植物などはマクロレンズ(Olympus ED 50mm F2.0 Macro)を多用します。
一方望遠レンズ(Olympus ED 70-300mm F4.0-5.6)で偏光フィルターを使うシーンはありませんし、魚眼レンズ(Olympus ED 8mm F3.5 Fisheye)にはレンズの前玉が飛び出ているのでそもそもフィルターを着けることが出来ません。
「このレンズで撮るときには偏光フィルターが欲しいな」というのが分かったらそのレンズの「フィルターサイズ」を確認します。レンズの前面部分にレンズの仕様「9-18mm F4.0-5.6」などと書いてありますが、それと一緒に「O72」などと「O数字」が書かれていると思います。これがフィルターサイズ。直径 72mm ということですね。
フィルターを装着出来るレンズにはフィルターサイズが記載されています。レンズの前面になければ周囲に書いてあるレンズもあります。
また、フィルターを装着するためのネジもあります。これがないレンズにはフィルターを装着出来ません。
フィルターを買うときにはレンズのフィルターサイズに対応したサイズのフィルターを選ぶ必要があります。前述の私の広角レンズならば O72mm、マクロレンズは O52mm です。
それで購入したのがこれ。
Zeta ワイドバンドC-PL | Zetaシリーズ | ケンコー・トキナー
ケンコー Zeta サーキュラーPL [薄枠偏光フィルター 52mm] – ヨドバシ.com
ケンコー Zeta サーキュラーPL [薄枠偏光フィルター 72mm] – ヨドバシ.com
レンズにフィルターを装着したところ。この偏光フィルターはくるくると回して偏光の具合を加減出来ます。ファインダーを覗くと確認出来るので、一番いいなというところで撮影するだけ。例えば空ならば一番暗くなったところが最も反射光を除去していることになります。
私は 52mm と 72mm の両方を買いましたが、節約しようとすればこの場合ひとつで済む方法があります。大きい 72mm の方のレンズフィルターと、52mm-72mm の「ステップアップリング」というのを買えばこれで用が足せます。
ケンコー ステップアップリング 52-72mm – ヨドバシ.com
52mm なマクロレンズにステップアップリングを装着して 72mm のレンズフィルターを取り付けられるようにするわけです。
ひとつの「大きなレンズフィルター」を「各レンズのフィルターサイズに対応したステップアップリング」を使うことにより使い回すことが出来ます。